「ピンチをチャンスに変える!カルチャートランスフォーメーション」という話をしました
はじめに
2020年4月16日(木)に「クラスメソッドのテレワーク推進セミナー 〜在宅勤務率98%達成!成功要因はしくみと文化づくりにあり〜」を開催しました。
本資料は、セミナーにて「ピンチをチャンスに変える!カルチャートランスフォーメーション〜在宅勤務でも100%パフォーマンスを発揮するための組織カルチャーの作り方〜」というタイトルでお話させて頂いたものです。
登壇資料
動画
言いたかったこと
当然ながら、全ての職業でテレワークが出来るわけではありません。しかし、テレワークが可能な職業でも、制度や環境が整っていないが故にテレワーク出来ないケースが多々あることが、昨今の調査で分かっています。制度や環境が整っていない理由として様々な課題が上がりますが、実際にはそれは課題ではなく、割り切りや心持ちの切り替えでクリア出来ることが多々あると思っています。その下支えとなるのが企業カルチャーです。そこでご参考までに弊社の企業カルチャーをご紹介させて頂きました。
また、1つ注意点として、制度や環境によるパフォーマンスの低下は企業カルチャーをベースとした取り組みによって防止出来ると考えていますが、家庭に依存するパフォーマンス低下は簡単には解消出来ません。育児や保育や介護等です。そういったケースについては、事業者側も労働者側も「パフォーマンスが下がっても仕方がない」と割り切ることが重要です。仕事を優先して家族に影響を与えるのは絶対に避けるべきです。現状のような非常事態だからこそ、全員が決まりきった対応にならずに、柔軟に対応することが必要だと思います。
質疑応答
Q. リモートワークを進める中で、「Web会議システムなどを『常時接続で』使ったコミュニケーションは生産性が高い」という意見もあるようですが、常時接続については御社ではどのように考えられていますか?
A. 現状弊社ではしていません。過去に試したこともあるのですが、常時接続によってPCのリソースを消費すると業務に支障が出るためです。チャットによって常時コミュニケーションが取れれば、Web会議を常時接続する必要はないと考えています。
Q. GW中の勤務について考えています。就労規則などはどのように定義して実施しているのでしょうか?通常であれば休日労働になってしまうと思うので。
A. 基本的には振替出勤→振替休日となります。
Q. アウトプットファーストの場合に、障害トラブルの切り分け対応や障害保守作業に取り組んだ際のアウトプット評価はどのようにされていますでしょうか?
A. 障害対応(切り分け含め)も保守作業も、実施のレポートが必ず残るはずなので(例えば障害報告書であったり、保守結果報告書であったり)、それをアウトプットの評価材料としています。
Q. カルチャーとして浸透するまで、どの程度の期間を要しましたか?またカルチャーとして浸透したと何をもって判断できました?
A. 正直なところ、企業カルチャーは試行錯誤の連続なので、ある程度明文化→浸透→文章更新を繰り返しています。ざっくり言ってしまえば3年くらいはかかりました。また組織が大きくなればなるほどカルチャーを浸透させるのは難しくなるので、浸透させたいカルチャーを選択したら、特定部署でまず浸透させて、そこから拡大していく、といった手法を使っています。
Q. 個々人にお任せしているセキュリティ対策として、例えばどんなことを社員の方は実施していますか?
A. 例えば通信の暗号化やファイルやり取り、打ち合わせ時の回線選択等です。細かく会社で制御するのは難しいので、方針は打ち出すものの、最終的な判断は社員側です。もちろんですが、セキュリティツール等は全社統一で導入しています。
Q. フルリモートによって帰属意識が薄れてくることを懸念しています。帰属意識を低下させず(むしろ向上させたい)、組織文化形成にもつながるようなコミュニケーション施策があれば教えていただきたいです。
A. 弊社のケースだと、週1回の社長朝礼、リモートランチ会、おやつ会、リモート懇親会、など、社員同士のコミュニケーションパスはいくつか用意しています。また弊社の場合は普段からチャットに慣れているので、そこまでコミュニケーションが極端に減ることは無かったです。
Q. テレワークにより通勤手当の支給が不要になりますが、逆に通信費等の定額支給はされていますか? いくら位が妥当でしょうか?
A. 現状は通信費や電気代等の手当は支給していません。細かい手当の制度を増やすより、昇給でカバーしたほうが労使ともに効率的だと思っています。
Q. 情シスで実機がないとできないサポートなどは発生しないのでしょうか?そのために全員がテレワークになった後でも、出勤する必要があります。
A. PCの故障対応等はありますが、情報部門担当がいる地方オフィスに送付し、必要な場合のみ出勤して対応しています(弊社の情報部門メンバーは新潟にします)
Q. クラスメソッドに入社するレベルの人はPCのセットアップなんて楽勝ってイメージですが、PCに詳しくない人がいたりする場合どうやってサポートしているでしょうか?
A. 実際には営業や総務等の非エンジニアも多くいますので、PCの初期セットアップは情報システム部門が一括で行っています。また利用時に発生した課題はWebミーティングツールを使って情報システム部門がサポートしています。
Q. プロアクティブにコニュニケーションしないといけない、とありますが、プロアクティブにコミュニケーションさせていく、その流れを作っていくために、何か行った施策、雰囲気作り、発信等はありますか?
A. コミュニケーションはアウトプットの1つなので、アウトプットしないと周りから見えないよ、ということを常に伝えていくことで、自分からコミュニケーションの発信をするようになりました。とはいえもちろん苦手な方もいるので、チームごとに雑談するチャットのチャンネルを作ったり、趣味のチャンネルをたくさん作ったりしています。
Q. AWSサービスを使ったテレワークは活用されていますでしょうか?
A. はい、今年4月から海外新卒が入社したのですが、海外に社用PCを送付するのは難しかったため、Amazon Workspacesを使ってもらっています。
Q. PCリテラシーが低い(最悪持ってない)、自宅でのネット環境不整備、ツール類導入への抵抗…といったレベルの役員が多数な場合、どのあたりから切り崩して行けば良いでしょうか?役員がコミットしないと、社員に全面的に浸透するとは思えず…。一部がテレワーク、一部がリアルというのが、もっとも非効率な気がしております。
A. 身も蓋もない発言になってしまいますが、テレワークの導入はカルチャーも重要ながら、もう一つ重要なファクターはトップダウンだと考えています。そもそもトップがその意識がないとツールに対する予算も降りないし、抵抗勢力に対して反論することも出来ません。なので一番最初に切り崩す対象は代表の社長様ではないかと思います。
Q. 作業環境はVDIでしょうか?ローカルでしょうか?また、情報漏洩対策は何か行なっていますでしょうか?
A. 基本的には全社員にPCを配布しておりますが、海外メンバーのみVDIを利用しています。弊社の場合ですと業務上個人情報等を取り扱うことはほぼ無いのですが、人事や労務等のみ、SaaSサービスに情報を集約して個人PCに保存しないようにしています。
Q. 現在、弊社では踏み台EC2インスタンス等にセキュリティグループでIP制限を設けていますが、一部のメンバーのグローバルIPアドレスが頻繁に変わり、セキュリティグループでの制限に限界を感じております。御社ではどのようにリモートワークにおいてEC2インスタンスのセキュリティ対策を行なっておりますか?
A. 在宅環境はどうしてもグローバルIPアドレスが動的になるため、弊社内にVPNアクセスポイントを用意しており、そこを踏み台にしてIPアドレスによりアクセス制限された環境にアクセスしております。
Q. Slackについて、DMの利用よりも、オープンなチャネルの利用を推奨(またはルール化)していますか? どのようにしていますか? (メンバー間でのダイレクトメッセージが多くて、情報共有に苦労しています)
A. 基本的にはパブリックチャンネルを推奨していますが、DMやプライベートチャンネルを禁止はしていません。顧客情報や個人情報が発生するチャンネルについてはプライベートチャンネルを利用、それ以外は原則パブリックチャンネルとしています。弊社の場合だと、社員の中で情報をオープンにする意識が強いため、DM等が特に弊害になってはいません。
Q. 御社の場合は、自宅に固定回線が無いユーザーは居なかったのでしょうか? またそういう場合は、どのような対応をされていましたか?
A. 可能な限り固定回線の開通をお願いはしていますが、開通出来ない環境もあるため、社用モバイルWiFiルータの貸し出しを行っています。
Q. アウトプットファースト前提とはいえ、日々の生産性管理は必要かと思いますが御社ではどのように管理されていますか?(各個人へのミッション通達方法含めて)
A. プロジェクトに依ります。受託開発等では予算とコストの管理が必要なため、ある程度細かく工数を管理しています。インフラ系のプロジェクトではそこまで厳密な工数管理が必要無いため、基本的には各自に任せています。ミッションは四半期に一度の上長との1on1で確認しています。
Q. 最終的に個人にセキュリティ対策を任せている状態だと、既存のセキュリティ規定と乖離が発生する事もあると思うんです。それの対処方法であったり、HQ部との折衝をどの様に切り崩した(調整された)のかが気になります。
A. 大枠としては情報セキュリティ基準を策定し社内に通知し、標準のセキュリティツールは全員に導入しています。しかしテレワークだと場所や通信回線によって各自の判断でセキュリティを確保せざるをえない場合があり、そちらは情報セキュリティ基準に則った上で各自にて対応してもらっています。全ての管理は会社では出来ないためです。
Q. ビデオ会議でカメラをONにしないメンバーがいます。様々な理由があるとのお話がありましたが、やはり表情が見えた方が効率が良いです。この点、何か改善方法はありますか? (理由を聞くとか..?)
A. 僕自身はカメラは必須ではないと考えています。もちろん可能な限り顔が見えたほうがコミュニケーションは取りやすいのですが、自分の顔を他人に見られるのが好きでなかったり、あるいは部屋が映り込むことに抵抗がある人も多いため、強制はすべきでないと考えています。チャットのアイコンも同様で、本人の写真のアイコンであったほうが相手の顔を認識しやすい一方、強制をする必要はないと思います。
Q. ブログを書く文化がとても素晴らしいと思います。ブログを書く時間は勤務時間として扱われているのか、ブログを書くことが評価に値するのかなど気になります!
A. 弊社の場合、ブログは業務時間内に書いても良いし、業務時間外に書いても良い、というスタンスです。業務時間外に書いても業務時間とはカウントしませんが、業務時間内に書いても問題ありません。またブログ等のアウトプットは評価自体はしますが、直接的な査定には影響しません。
Q. 個人情報を扱うことは基本ないとのことですが、案件情報などはローカルに保存しているということでしょうか?その場合、情報漏洩対策は何か行なっていますでしょうか?
A. 案件情報はプロジェクト管理のSaaSサービスに保存しています。
Q. テレワークにおける、AWSを使用したオススメのセキュリティサービスは何がありますか?
A. 特にWorkspacesとClientVPNが多く使われていると思います。弊社でも利用しています。
さいごに
本内容が、テレワークでお困りの皆様に少しでもお役にたてば幸いです。